ミネソタ大学大学院 Business Analytics プログラム
今回は僕の学んだMinnesota大学大学院のMS in Business Analyticsのプログラム
について書いていこうと思います。
授業について
このプログラムは1年のマスターのプログラムで、Data ScienceやBusiness Analyticsに関する幅広い分野の基礎を網羅したようなプログラムで、特にビジネスでの応用に重点が置かれている点が特徴かと思います。どの授業でも期の後半にはプロジェクト形式の実践演習が組まれていて、同級生とチームを組んでデータ分析、モデル構築、全体発表等をすることになります。入学に当たっての技術的な要件が無いこともあり、内容としては比較的基礎的な内容で、技術的・理論面の詳細よりは実践力の養成に重点が置かれていた印象です。
主な授業・プロジェクト
- Predictive Analytics − R, RapidMinerによる教師あり学習
- Exploratory Analytics − Rによる教師無し学習(主にクラスタリング)
- Database Management − SQL, RDBMS, NoSQL
- Statistics − 確率、推定、検定、回帰等の統計の基礎、JMPによる実習
- Big Data − Hadoop, Spark, Apacheエコシステム等のBig Data技術全般
- Programming – Pythonでのプログラミング
- Data Driven Experiment – ABテスト等の統計的検定
- Advanced Issue in Business Analytics – 時系列分析、グラフ理論、線形計画法、ダイナミックプログラミングなど諸々雑多なトピック
- Experimental Learning – 企業へのコンサルティング/データサイエンスプロジェクト
- その他、マーケティング、アカウンティング等のMBA的プログラム
クラスメートについて
僕の参加したクラス2016は実に9割以上が留学生(主にインド、中国)でした。職務経験としては学部卒業後2〜4年程度の人が多く、ほぼ全ての人が卒業後にアメリカでの就職を目指して来ていました。当時、プログラム自体が始まって2年目で入学前にほとんど情報がなかったこともあり、入学してこうした状況を初めて知りました。もともと、卒業後は日本に戻って転職先を探す予定だったのですが、結果として周りの同級生の影響をまともに受けて僕もアメリカでの就職を目指すことになったのでした。(詳細は別途書きたいと思います。)
入学した後に知ったのですが、アメリカ就職を目指す留学生が多かったのは、ビジネススクールのプログラムではあるものの、STEM認定プログラムであったことが大きかったようです。STEMとはScience, Technology, Engineering, and Mathematicsの略で留学生がアメリカ就職をする場合は必須の要件となっています。詳細は別途書ければと思いますが、STEMでないプログラム(MBA等)だと、卒業後にビザ無しで働ける期間が1年しかなかったり(STEMだと3年)、就労ビザ(H1B)の審査が厳しくなるなど不利な面が大きく、事実上STEMプログラム卒でないとアメリカ就職はかなり厳しいと思われます。
その他の特徴
ビジネススクール内のプログラムであったため、就職のサポートが非常に充実していました。スクール内に専門の就職課があり、入学直後のオリエンテーションから就職関連のセミナーが始まり、その後も随時セミナー、履歴書作成のサポート、個別面談、模擬面接、学内リクルーティングイベントなどが頻繁に組まれていて、この点は通常のアカデミックのプログラムに比べると非常にサポートが充実しているのかと思います。
アメリカの学校はどこも共通していると思いますが、毎回の授業で出る宿題の量が非常に多く、全部こなすのが非常に大変でした。特に僕のプログラムは1年のプログラムで長期休みも無く、授業が詰め込まれていたため、一年通して土日も含め忙しかった記憶があります。
次回は就職について書いていきたいと思います。
大学院留学 - 出願と結果
6年ほど前(2015年)にアメリカに留学で来て、その後現地就職し、以来転職を挟んでずっとこちらに住んで仕事をしています。今回は留学の経緯と出願・合否の結果について書いてみたいと思います。
前回にも少し触れましたが、私は日本の国立大学・経済学部を学部で卒業した後、金融機関・シンクタンクで10年ほど仕事をしました。業務は主に金融・リスク管理分野のデータ分析やモデルの開発(不正検知や信用スコアリングモデルの開発等)だったのですが、もともと経済学部出身でデータサイエンスを体系的に勉強したことがなかったため、一度大学院等で勉強したいと思っていました。また、読んだ本の影響で留学に興味を持っていたこともあり、留学を目標に決め、準備を始めました。
できれば比較的テクニカルなデータサイエンスのプログラム(NYUのMS in DS等)に興味があったのですが、悲しいかな文系出身なのもあって当時はプログラミング経験などの出願要件を満たしていなかったため、比較的要件が少ないBusiness Analyticsのコースをメインに出願しました。
TOEFL に手こずった結果、準備に2年程度かかりました。最終的なTOEFLとGREの出願スコアは以下の通りです。
TOEFL(iBT)
R:29、L:25、S:20、W:26、Total:100
GRE
V:153、Q:168、W:3.0
TOELF100点は大学院留学では最低限の点数だと思いますが、GREなど他の準備もしなければならなかったため、受験数ヶ月前で早々にTOEFLは切り上げていました。これらテストの他に、ほとんどの出願先でエッセイ、推薦状(2〜3通)、履歴書、学部の成績表(GPA)の提出が求められました。私の場合、学部時代あまり真面目に勉強していなかったため^^;、GPAがかなり悪かったことも出願のネックとなっていました…
出願先と結果は以下の通りです。(2015年出願)
大学院 | プログラム | 結果 |
---|---|---|
University of Minnesota | MS in Business Analytics | 合格 |
National University of Singapore | MS in Business Analytics | 合格 |
Northwestern University | MS in Analytics | 不合格 |
The University of Texas at Austin | MS in Business Analytics | 不合格 |
University of Southern California | MS in Business Analytics | 不合格 |
George Washington University | MS in Business Analytics | 不合格 |
合格した2校のうち、アメリカの方に興味があったのでMinnesota大学のBusiness Analyticsのプログラムに留学することにしました。ちなみにこのプログラムは1年で完結するので社会人にとっても比較的敷居が低いのかと思います。
入学後にAdmission担当に聞いたところによると、合否は主にGREスコアの高い順に決めてその他の要素はあまり見ていなかったと言っていましたw ただ、合否基準については学校それぞれだと思いますので、基本的にはどの要素もしっかり準備していった方がいいと思います。
一連の準備を仕事と並行して進めていくのは個人的にはかなり大変でした。特にTOEFLは最初の70点から始まり、最終的に100点に到達するのに2年かかってしまいました。おそらく他の日本人にとってもTOEFLが最もネックになるのかと思います。ちなみに、同級生のインド人はTOEFLは1回しか受けていないとのことでした^^;
次回は授業や大学院生活について書いていこうと思います。
初めまして
アメリカ西海岸でデータサイエンティストとして働く♂39歳です。
アメリカに来て6年近く経ち、留学、海外就職、現地転職を経て現在に至るまでの道のりをシェアしてみようかと思い、ブログを始めてみました。
自分の経歴を簡単に列挙すると、
- 日本の国立大学・経済学部卒
- 金融機関、シンクタンクでデータ分析・モデル開発関係の仕事を経験
- 34歳でUniversity of MinnesotaのBusiness Analytics大学院プログラムに留学
- アメリカのデータ分析ソフトの会社に就職、データサイエンティストとして働く(サンディエゴ勤務)
- 現地で転職し、会計ソフトの会社のAIラボチームに所属(引き続きサンディエゴ)
といった感じです。
世の中に留学・海外就職関連のブログはたくさんあると思いますが、このブログは主に次のような人の参考になればと思って書いています。
- 30歳を過ぎて留学(特にアメリカ)を考えている人
- 海外在住経験は無いけどアメリカに海外就職したい人
- 文系だけどデータサイエンティストになりたい人
自分の場合は特に周りに似た経験がある人があまりいなかったこともあって苦労したところもあるので、このブログを通して留学・海外就職などを考えている人に役に立てたらと思っています。
では、次回より留学の経験からトピックごとに書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。